1. 森の道

てくてく歩いてく、昔ながらの民家・・、
軒下に、
ももひきが干してあったり大根が並んで干してあったり、
おばあちゃんの下着が堂々と風になびいていたり、
部屋の中なんて丸見えなのに、テレビみてゴロゴロしてる
おじいちゃんがいたり、縁側があったり。

外から見ているだけで、
家の中の住人のぬくもりやあったかさが伝わって、
そんな家々を見ながら歩くだけで、
ふいに鼻の奥がつんとして涙がこぼれて、
どこを歩いても見えるものみな、包みこまれるように暖かい。

そんな民家の中に森へ通じる細い土と砂利の道がある。
よーく見ないと、見過ごしてしまう。つい道に迷う。
特別な入り口って看板がある訳でもなく、
あたりまえのように家々を結ぶ道と同じように森への道がある。

急に今度は細い階段がでてきてやっと、ああ、ここが道かとわかる。
階段の先はもう山。
ここから傾斜がきついんだ、
どんどん傾斜がきつくなってぐるっと山を飛行機で言えば
旋回するように回りながら登ってやっとたどり着く。


遠くに煙が立ち込めている。
窯焚きの煙突から登る透明で木の香りがする煙が見える。
窯場という場所が認識できるのは、その直前まで
旋回しないとわからない。

この先は、「窯焚きをする窯場」という神聖な場所。
いえ、それだけじゃない、この山この土地も。