廃墟に棲む幻/midi by 遠来未来



Endless


まだ生れてないなという時間の存在。
ふいに
生れる前、すでにもう完全なる1つの生命なのだけどまだ子宮の中にいることに気がついて
生れる直前、慣れ親しんだ羊水の部屋から出る道は暗くて怖くて・・でも惹かれて止まない。

戻れなくて、留まれなくて、行かれない。
どんなに不安でどんなに怖くても、子宮へは戻れない。
どんなに希望を見ても、産道を通らねば出られない。

生れる前の時間、大切な時間。





それでも、
1つの生命ではあるけれど・・ひとりぽっちじゃない、と気づく時
春という膨大なエネルギーや月も海も空も何もかもが自然の川となって、押し寄せる。

もがく力も尽きて、遠くで空の高い音がする。
自然の川に委ねるだけ。
生れる前の時間、大切な時間。


生きながら死にまた生れて小さな破壊と再生を繰り返しては、新しい細胞が育ってゆく。
死にながらまた生れて小さな魂となり、螺旋が育つ。

一番奥の一番小さな一番大きな宇宙の旅の時間。


生れる前の時間と死んだ後の時間。


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